医療機器分野における各種ソリューションの開発,製造を手掛けるL社。同社はこのほど主力製品のマルチアナライザーについて,従来機種よりも対応試薬数を増やした新モデル開発に取り組んでいました。同社開発部設計課のNマネージャーはこう語ります。
「次期モデルには低振動化による信頼性向上,およびコスト削減などが求められていました。現在はモータ購入先としてWEB販売をメインとする業者から定価で購入しています。WEB業者なので問い合わせなどにも逐一手間取るような状態でしたので,購入先の見直しを考えていました。」
同時にN氏は,モータなど部材の一部を部門内で共通化するよう指示を受けていました。
「国内のみならず海外向けにも量産していきたいと考えていくなかで,部品の共通化は部門全体でコスト削減の取り組みとして必須でした。モータの置き換えや共通化を進めていくにあたっては,トルク特性などの詳細な仕様確認が必要となっていきます。WEB業者では,問い合わせへの迅速な返答や満足する技術的なサポートを受けられませんでした。」(N氏)
開発スケジュールがギリギリのなか,N氏ら開発チーム内には焦りが広がっていました。
N氏は,他部署で取引のあった山洋電気に相談をしてみました。後日,L社を直接訪問した山洋電気の担当者は,N氏ら開発チームの課題を細かくヒアリングし,2相ステッピングモータ「SANMOTION F2」を提案しました。
「部品の共通化を含め,相談をさせていただきました。現在は3種類のモータを5軸に使用していますが,一番トルクの出るモータ1種類に集約するという提案をしていただきました。現行のモータからの置き換えがうまくいくよう,巻線仕様を変更していただけるとのことでした。モータの知見が不足し,開発スケジュールが短い当社の実情を汲んでいただいた提案でした。」(N氏)
山洋電気の担当者は,N氏に評価用サンプルを提供しました。社内評価はスムーズに進み,ほどなくL社は2相ステッピングモータ「SANMOTION F2」の採用を決定しました。その後も作業が滞りなく進み,スケジュールどおり新モデル開発を完了することができました。
「当社指定のコネクタを取り付けるカスタマイズもしていただいたので,組立工数の削減も実現しました。また部品の共通化によってストックやメンテナンスの費用が抑えられ,トータルコストの削減にも成功しました。山洋電気には,提案,サンプル提供,社内評価,その後のサポートまで,スピード感を持った対応をしていただき,感謝しています。」(N氏)
ステッピングモータについて詳しくは「ステッピングモータとは? 仕組み,種類,使い方(駆動方式・制御方法),メリットや特徴を解説」もご覧ください。
公開日: