生化学分析装置など医療・研究施設に向けた各種分析ソリューションを開発・提供するX社。同社ではより多くの検査受託企業への拡販を目指し,新たに高性能の検体分析装置の開発を進めることにしました。
開発にあたってX社は,ターゲットを検査受託企業に絞り,調査をおこないました。同社R&D部のE部長はこのように語ります。
「検査受託企業の多くは,検査装置に結果判明までのさらなる時間の短縮を求めていました。検査スピードを上げるためには,位置決めの精度を保ちながら,動作を高速化する必要がありました。また,競争力がある都心に検査拠点を多数展開したいが,都心の検査拠点はスペースが限られていて,しかも人の近くに検査装置があることも多いため,低騒音化も重要なポイントと考えていました。しかし,現行のモータではこれらの要件を満たせませんでした。」(E氏)
また,狭いスペースでも設置できるように,これ以上装置を大きくすることはできません。装置のサイズを変えないために,性能がより優れたモータを探す必要がありました。E氏は,こうした要件を満たすモータの情報を収集しはじめました。
こうした課題について,以前別の案件で取引のあった代理店に相談したところ,E氏は山洋電気のモータを紹介されました。「業界トップのトルク性能」という言葉にE氏は興味を持ち,詳しく話を聞くことにしました。
数日後,E氏らと面会した山洋電気の担当者は,課題を詳細にヒアリングしたうえで56mm角2相ステッピングモータ「SANMOTION F2」を提案します。
「従来の他社製品(56mm角)と比較し,トルク性能が約40%向上していると聞きました。これならサイズを変えずに位置決め時間の大幅短縮という要件を満たせると期待が持てました。また,騒音値が4.9dB(A)低減しているほか,効率も2.4%上昇しているとのことで,装置の低騒音化や省エネにも貢献できると思いました。」(E氏)
モータのスペックに満足したX社開発部のスタッフは,さっそく試作機に組み込んで評価をおこない,求めていた要件を満たせるとの結論に達しました。ほどなくX社は56mm角2相ステッピングモータ「SANMOTION F2」の正式採用を決定しました。
その後,X社は無事に検体分析装置をリリース。E氏は現在,市場の反応に大きな手ごたえを感じているといいます。
「多数の検査機関から導入のお話をいただいており,販路拡大と売り上げ増加に結び付いています。導入いただいた検査機関からは,検査結果が早く出せるようになったことで,売り上げが大幅に伸びたというお話を聞いております。また検査機関の現場スタッフの方からも,性能が向上したことで業務全体がスムーズに流れるようになり,長時間労働の削減にもつながったと感謝の声をいただいております。モータの置き換えは正解でした。山洋電気には感謝しています。」(E氏)
ステッピングモータについて詳しくは「ステッピングモータとは? 仕組み,種類,使い方(駆動方式・制御方法),メリットや特徴を解説」もご覧ください。
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