
装置設計において,「ぴたっと止まる高精度な位置決めを,シンプルな制御で実現したい!」と思ったことはありませんか?
ステッピングモータを使うことで,シンプルな制御で高精度な位置決めを実現できるケースがたくさんあります。
さらに,ステッピングモータの特長を上手に活用すると,タクトタイムを向上したり,製品の品質を高めたりもできるのです。
それでは具体的に,「ステッピングモータが高精度な位置決め制御を実現できる理由」や「ステッピングモータを活用した装置事例」を見ていきましょう。
※今回はステッピングモータでの位置決め制御や使い方について主に解説しています。ステッピングモータの仕組み・駆動方式などの基礎知識については,こちらをご覧ください。
ステッピングモータとは,パルス信号が入力されるごとに,一定の角度ずつ回転するよう制御されているモータです。
パルス信号の周波数を調節することで意図する位置まで正確に動かすことができるので,高精度な位置決めを実現できます。
▼5相ステッピングモータ(基本ステップ角0.72°)の場合
▼相数によりステップ角は変わります。ドライバの制御で基本ステップ角を分割することもできます。
ステッピングモータは磁気でモータの位置を保持するという構造的な特長があるため,止める力(ホールディングトルク)が強く,ぴたっと安定停止が必要な装置に適しています。
サーボモータには検出器がついており,フィードバック機能があります。
ステッピングモータは検出器が必要のないオープンループ制御のため,システムの簡素化・低コスト化が可能です。
※高精度な位置決めのほかに,俊敏に動かすことも得意です。
例えばインダクションモータは誘導機のため,モータが定格回転数になるまでの時間が長くなります。そのため,立ち上がりが悪く,装置の動き出しに遅れが発生してしまいます。
ステッピングモータであれば,指令に対する追従性,立ち上がり特性が良くなります。
ステッピングモータは,高精度な位置決め制御をシンプルに実現できることから,家電から,プリンターなどの業務用機器,自動組み立て機などの産業用機械,自動販売機や自動改札機,医療用のシリンジポンプや分析機器,アミューズメント機器など幅広い用途で使われています。
しかし,位置決めだけではありません。
同期性や低速高トルクなどの,ステッピングモータの特長を応用した使いこなし方もできるのです。
今回は,主に食品装置の例でご紹介します。
インダクションモータの場合,素材に応じて運転時間を調整したり,インバータ搭載による回転量の調整が必要となります。
ステッピングモータであれば,温度,湿度の変化で材料の状態が変化しても,安定した品質が保てます。
インダクションモータの場合,モータ容量をアップさせ硬化時の動作を加味する,ギヤ比をUPさせトルクを稼ぐ,などの手段が必要なため,モータ容量を上げるためのコストがかかったり,その分のスペースが必要になったりしてしまいます。
ステッピングモータであれば,低速高トルクにより,モータの容量アップをうまく回避できます。
食品を加工処理する機構へ搬送する機構では,従来の可変速ACモータの場合,速度を上げた際に停止位置にもかかわらず惰性で搬送し,搬送ベルトの摩擦により食品表面に傷ができてしまうことがあります。
ステッピングモータは立上がりの特性が良いため,ACモータと比べて急減速が可能になります。
サイズ別に仕分けをする装置において,タクトタイムの短縮が必要でした。
エアーシリンダからACギヤードモータへ置き換えましたが,タクトタイム短縮が実現できず課題となっていました。
低速回転域で高トルクを有するステッピングモータなら,短い距離を素早く動かすことができ,タクトタイム短縮を達成できます。
さて,位置決めにはもちろん,さまざまな使い方もできるステッピングモータですが,脱調や振動・騒音,消費電流が大きいなどの課題もあります。
当社では,高トルク・高効率・低振動・低騒音・充実した保護機能で,従来のデメリットを大幅に改善したステッピングドライバを販売しています。使いやすいステッピングドライバをお探しの方におすすめです。
その他当社では,各サイズのモータを取り揃えております。
各種カスタマイズ等(※)も承っています。ご興味を持たれた方は,ぜひお問い合わせください。
※数量などによります。
監修:山洋電気株式会社 営業本部 サーボシステムビジネスグループ
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