K社では医療用分析器の新モデルの開発に取り組んでいました。新モデルでは小型化を目指していましたが,開発を進めるなか,ファン選定における冷却能力と静音性のバランスが問題となっていました。製品開発部のH氏は次のように語ります。
「医療機器は,安全性・信頼性が重視されます。そのため,実績のある現行の部品を活用しながら設計するのが基本です。しかし,新モデル開発にあたり実機評価したところ,冷却能力が不足することが分かり,設計の見直しが必要になりました。小型化により熱が逃げづらくなり,発熱の問題が課題になったのです。冷却能力を高めるために他装置で採用中の風量・静圧が現行より高いファンを試してみたのですが,騒音が大幅に上がってしまったのです。」
H氏は,高回転のファンなので音圧レベルが高いことは分かっていましたが…
「医療現場で使う装置ですし,新製品なのでできれば現行装置よりも騒音は抑えたいと考えていました。しかし,筐体や構造の見直しをおこなうコストや開発期間の余裕はありませんでした。」(H氏)
H氏は,ファンのサイズを変えずに,冷却能力が高く,騒音レベルが低いファンを探すしかありませんでした。
※風量・静圧について詳しくは山洋教室ファンの基礎知識:ファンの風量と静圧
情報収集を続けていたH氏は,付き合いのあった山洋電気に問い合わせることにしました。H氏が開発の現状を伝えると,山洋電気の担当者からPWMコントロール機能つきのファンを提案されました。
「PWMコントロール機能は,回転速度を制御して,最適な風量に調整することができます。その結果,必要なときに必要最低限の冷却制御をおこなうことで,消費電力の低減や装置の低騒音化が実現できるそうです。この方法なら,ファンのサイズを変えずに騒音レベルを低減できます。」(H氏)
K社ではPWMコントロール機能を使った制御の実績がありませんでしたが,提案を受けて,まずは実機で評価をすることにしました。
「コントロール基板を作るのは初めてで不安もありましたが,山洋電気ではPWMコントローラもラインアップしているという説明を受けて,安心できました。PWMコントローラを選択肢に置きながら,まずは社内で試作をしてみることにしました。」
実機評価の結果,期待していた冷却性能を確保することができ,コントロール基板も社内で設計することができました。
「PWMコントロール機能で制御することにより,待機時の騒音レベルを18db低減ができました。今回PWMコントロール機能を使ってみて,騒音対策として非常に有効であることが分かりました。」(H氏)
こうして,新モデルの製品化にこぎ着けたK社。PWMコントロール機能のノウハウを今後の開発にも生かせそうだと語ってくれました。
PWMコントロール機能について詳しくは「PWMコントロール機能付きファンの特徴」もご覧ください。
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