私たちの身の回りで使われているファンの種類には,駆動電源の違いにより,交流電源で動く「ACファン」,直流電源で動く「DCファン」があります。また、形状による違いにより「軸流ファン」,「ブロア」,「遠心ファン」などがあります。
山洋電気では多くの種類のファンをラインアップしていますが,用途によって使われるファンはさまざまです。さっそく,それぞれの違いを見てみましょう。
まずは,ファンの駆動電源の違いです。コンセントから供給されている交流電源で動く「ACファン」,直流電源で動く「DCファン」があります。ACファンは交流電源の周波数によって羽根の回転速度が固定されるのに対して,DCファンはモータと回路により回転速度を変えることができます。
現在では,コントロールしやすく,種類も多いDCファンの方が主流となっているため, ACをDCに変換する仕組みを持っていて,AC電源でDCファンと同じ動作をする「ACDCファン」もあります。
一般的に最も多く使われているのが「軸流ファン」です。
軸流ファンとは,フレームの中央部に羽根が取り付けられていて,羽根正面から風を吸い込み,後方へ吐き出すファンです。おそらくみなさんがファンと聞いて想像するのはこのファンではないでしょうか。軸流ファンは高風量,低騒音化しやすいという特長があり,私たちの身の回りで多く使われています。
軸流ファンのなかには,前後に組み合わせた2個の軸流ファンの羽根が互い違いの方向に回転することで,風の流れの直進性が向上し,高い静圧が得られる「二重反転ファン」や,特殊な環境,気温が極端に暑いところ寒いところなどそれぞれの環境に応じて使える「耐環境ファン」,羽根の回転方向を反転させて,両方向の送風を実現した「リバーシブルフローファン」など,それぞれの用途に合わせて選択することができます。
軸流ファンと違って,風の流れる方向が後方ではなく,吸込みから吐出しへ90°変わるのは「ブロア」と「遠心ファン」です。
「ブロア」と「遠心ファン」は,装置のスペース上,風をまっすぐ後方へ出せない場合には最適なファンです。ブロアは風をピンポイントに吹き付ける局所冷却用途や,高静圧の性能のため,部品が高密度で実装されている装置の内部冷却用途に向いているという特長があります。同じように遠心ファンは,密集している装置の内部の空気を引っぱり出すのに適しています。
それぞれのファンの特長については,また後ほど詳しく説明していきます。
※ファンには,ファン本体に送風の方向と羽根の回転方向を示す記号があります。
取り付ける際には,この記号により送風方向を確認してください。
ファンの取り付けに関しましてはお客さまの装置で十分検討のうえ,ご採用ください。
監修:山洋電気株式会社 クーリングシステム設計部
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