
電子部品を搭載した各種機器では,発熱に対する適切な対策が欠かせません。こうした装置を安定して使い続けるうえで,重要な役割を果たすのが,冷却ファンです。
なかでもAC電源で駆動するファンは,産業機器や設備などいろいろな用途で使用されていますが,一方で,DCファンが持つ高効率や長寿命といった特長を活用したいというニーズも高まっています。そうしたニーズに応えるのが,AC電源でDCファンの性能を実現する「ACDCファン(ECファン※)」です。
本記事では,ACDCファン(ECファン※)の仕組み,山洋電気のACDCファンの特長,そして採用事例を紹介します
※メーカーによってACDCファン,ECファンなど呼び方は異なりますが,山洋電気では「ACDCファン」としてラインアップしています。
ACDCファン(ECファン)とは,小型化したAC-DC変換回路を内蔵しているファンです。
AC(交流電力)をDC(直流電力)に変換して駆動します。そのためDC電源を用意する必要がなく,AC電源にて駆動できます。低消費電力,長寿命といったDCファンのすぐれた特長を発揮します。
図1の例では,当社同サイズのACファンと比べて,消費電力は最大で91%低くなっています。
▼図1 ACファンとACDCファンの比較
ACファンは生産ラインの制御盤や設備にも多く使用されています。
冷却ファン単体では消費電力の差は小さく見えますが,生産ラインや設備全体でACDCファンを採用することで,大きな省エネ効果を得ることができます。
また,ACDCファンは低消費電力である点に加え,期待寿命が長いため,メンテナンス工数の抑制も期待できます。
羽根・フレームの形状の最適化などによって,高風量・高静圧を実現しました。
変換回路およびモータ駆動回路を最適化することで,低消費電力を実現しました。
当社ACファンと比べ,期待寿命が向上しました。
使用電圧範囲はAC90V~264Vで,AC100V系・AC200V系のどちらでも使用できます。※
入力電圧・周波数に関係なく回転速度が一定です。ACファンのように電源事情による特性の変化がありません。
※遠心ファンを除く
PWMコントロール機能にてファンの回転数を制御することができます(一部機種を除く)。
装置の発熱状態(負荷状態)の変化に応じて風量・静圧を調整できるため,効率よく冷却でき,消費電力や騒音の低減に効果的です。
※配線方法など,ご使用にあたりご不明点等ございましたら,当社営業窓口までお問合せください。
防水タイプ(保護等級IP56・IP68)をご用意している機種もございます。
【2025年5月発売】92x25mm ACDCファン
2025年5月26日 San Ace|プロダクトニュース|製品情報|山洋電気株式会社
業界トップ※1の高静圧を実現した,☐92 × 25 mm厚のACDCファン「San Ace 92AD」 9ADタイプを開発,発売しました。 サーバ,通信ラック,制御盤などの冷却に最適です。
※1 2025年5月26日現在,ACDCファンとして,同サイズの場合です。(当社調べ)
ここからは,ACDCファンの採用事例を紹介します。
この事例の詳細はこちらからご覧いただけます: “装置の低消費電力化につながるACDCファンとは?
この事例の詳細はこちらからご覧いただけます: “AC電源でDCファンの性能を実現した「ACDCファン」とは!?
この事例の詳細はこちらからご覧いただけます: “AC電源のままでDCファンの性能を実現したACDCファンとは?
【使用上の注意】
電圧印加時や電圧変動時,ファン内部のコンデンサへ充電電流が流れるため,数μsec.~数msec.単位の時間で突入電流と呼ばれる大きなピーク電流が流れることがあります。突入電流に対しては,装置側のヒューズやブレーカの選定などお客さまご自身の責任において,実機にて事前評価のうえ,ご使用願います。
Supervisor: Ryuji Ueki, Group Manager, San Ace Group, Sales Department, SANYO DENKI CO., LTD.
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